プレイヤーが修羅になるクソゲーっぷりPS版『修羅の門』

修羅の門 :プレイステーション

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 格闘マンガと言えば、何を連想しますか?過去、月刊少年マガジンに連載されていた「修羅の門」という作品があります。「海皇期」でも有名な川原正敏先生の代表作で、最近まで、月刊マガジンで続編が連載されていた人気作品です。これを原作にしてとてつもないクソゲーを生みだしてしまうとは‥。

修羅の門とは?

この作品はのベースになっている原作について少し解説しましょう。

主人公である陸奥九十九が、最強と信じる格闘技、陸奥圓明流を武器に世界のあらゆる格闘技と渡り合っていくという、格闘マンガです。

所謂マンガ的な強さの誇張でなく、あくまで現実に即した行き過ぎないストイックな強さの表現が特徴的な作品です。(かといってリアル過ぎもいうこともない)

格闘を題材にしたマンガがゲームになる事はよくあることで、この修羅の門も例外出はなく、これまでにメガドライブ用とプレステ1用の2作がリリースされています。今回取り上げるのは、プレステ用ソフトの『修羅の門』です。

プレステ版『修羅の門』ですが、原作が格闘ということで、1対1の対戦格闘ゲームとして発売されるまでは、普通の流れだったと言えるでしょう。

しかし、主人公”陸奥九十九”が眩しいパッケージの右下に輝く、ゲームでは見慣れない講談社のロゴが我々の不安を掻き立ててくれるのです。

 OPから既に。・・まさに修羅よ

修羅への道、それはOPムービーから始まります。ゲーム起動後、プレイヤーが目にするのは、真っ暗な背景の中、もぞもぞ踊り狂う人のようななにか・・。

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スポットライトを浴びてなにやらモゾモゾしている物体

見ていると暗黒面に吸い込まれそうな妙な中毒性があります。いや、この方はまさか、作中最強を匂わせつつ実際はそうでもない感じになった神武館館長、龍造寺徹心先生ではありませんか!?

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いや・・違うか?

確信を得ることが不可能なクオリティがすばらしいですが、消去法で考えると徹心先生でよさそうです。

初っぱなから出鼻をくじかれるどころか、ねじ切られんばかりのOPムービーですが、本編は鼻どころか頭を全部持ってかれるぐらいの負のエネルギーを放出している本作。

今思えば、このOPムービーの出来は、これから修羅の門という魔境に足を踏み入れてしまうプレイヤーに向けた、製作者からの警告だったのかもしれません。

これを発売するかよ・・

このゲームをプレイすると、格闘ゲームの魅力とはなんなのか?ということをよく考えさせられます。そして、他の格闘ゲームが持つ魅力に改めて気づくことでしょう。そういう意味では、奥が深い作品と言えます。(まだこっちの方がマシだろう。)

なるほど、キャラ選択画面は、なかなかカッコよく演出されています。しかし、肝心の対戦画面が…。

キャラ選択→対戦画面の落差が与える衝撃により、ギャップというものが負に振れた時の圧倒的な絶望感を知ることになるでしょう。

 

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キャラセレ画面からの~‥‥

 

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誰?

 

原作と似ても似つかないモデリングな上に動きがカクカクなキャラを操り、振り回した手足が敵に当たったときだけ(当たり判定もなんか変)、「ペンッ」とか「ぺし」って感じの気の無いSEが鳴るだけ。
キャラボイスすら無いのは、キャラゲーとしていかがなものでしょうか?

 

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対戦中。特に盛り上がる事無く、ペンペン鳴っているだけである。


製作者側があえて糞をぶつけることで、プレイヤー自身の「修羅の門」を開きにきたとしか思えません。

キャラ選はなかなかよい

対戦で選べるのは、隠しキャラクターを含めて12人。女っ気が少ない原作ですが、ほとんど戦闘描写がなかった、ヒロインの龍造寺舞子や、本作オリジナルキャラのドルジといった女性キャラを参戦させていることは、素直に評価できます。

いくつかキャラを紹介しましょう。

 

氷の貴公子 片山右京

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天才的な格闘センスを持ち、甘いマスクで多数の女性ファンを持つ。必殺技菩薩掌は、まさに一撃必殺と呼ぶにふさわしい。

 

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菩薩掌とは、掌と掌をの間に相手の頭を挟み、瞬間的に数百回の打撃を叩き込む恐ろしい技。

このように菩薩掌は、とても恐ろしい、片山右京を代表する技なのですが、このゲームの菩薩掌は、相手の頭に手を当てて、ノイズのような「ブー」という脱力感溢れる素晴らしく間抜けな音を出す技として表現されています。

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 「ブー」

ただ前述の通り、このゲームはSEがかなり乏しいので、この「ブー」だけでも貴重なSEなのですゲーム中で聞けるSEは、「ペンッ」「ぺし」と、この「ブー」だけです。あ、投げたときの「ドサッ」っていうのもありました。

 

 神父の顔を持つ悪魔 レオン・グラシエーロ

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グラシエーロ柔術というどこかで聞いたような格闘技を操るレオン。自分の中に潜む悪魔に抗いながら神父として生きている。寝技を得意技とする。 

このゲームが話題になる時、必ずといっていいほど取り上げられるのが、このレオンの壊れっぷりです。寝技を得意とするだけあって、マウントポジション(馬乗り)を取ることを狙いに闘いを進めていくのですが、マウントポジションを取ったら最後、そのまま死ぬまで殴り続けることができます。

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マウントパンチを延々と決めるレオンさん

現実の格闘技でもマウントポジション≒勝利に繋がるので、あながちおかしいことでもないのですが、これは、格闘ゲームですので、ただの調整ミスですね。

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マウントパンチのみで、優勝したレオンさん。

多くのファンに期待された今作ですが、そのクソっぷりにより、プレイヤー自身の修羅の門が開いてしまった怪作として、人々の記憶に刻まれてしまいました。「キャラゲーに良作なし」を証明してしまったゲームのひとつです。

後、設定画面は、ハンディキャップが設定出来たりと意外と細かいです。

なんと「視点」も変更でき、『甲』と『乙』が選べます。甲、乙と言われただけでは、ピンと来ないのですが、実際変更しても違いがわかりません。

いまだに分からないので、誰かわかる人がいたら教えてください。

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設定画面。無駄に和風。


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