インド人って火を吹いたり、手足が伸びたりしないんですね。ダルシム(インド代表)から学んだ事。
幼少の頃得た知識というものは、なかなか忘れないもので、忘れたようでも深層心理として蓄積されているようです。
僕を含めファミコンブーム真っ只中で、幼い時間を過ごした方々は、TVゲームというひとつの文化の中で様々な知識をオラオラと叩き込まれてしまっています。
南アジア随一の面積と世界で第2位の人口を誇る大国であるインドという国があることはご存じかと思います。
インドというと、まず一番にカレー、そして最近では、数学に強いことや、IT関連産業の躍進が取り沙汰されることが多いです。
しかし、私と同世代が思い浮かべるインド人は、「火を吹く」「手足が伸びる」「ヨガ」というイメージに支配されてしまっています。
その背景には、『ダルシム』というゲームキャラがいます。このキャラは、対戦格闘ゲームの『ストリートファイターⅡ』で初登場しました。同シリーズは、現在の対戦格闘ゲームを形作り、今もなおシリーズが発売されている人気シリーズです。
スーファミ版説明書より。"インド代表" とあります。代表なんです。やっぱりカレーが好きなんですね。
1991年『ストリートファイターⅡ』がアーケードで稼働したことが始まりです。翌年92年、同タイトルはスーパーファミコンに移植され、インド人についての間違った知識は、多くの子供たちの潜在意識へ刷り込まれていったのです。
「ダルシム」という存在による間違った知識の刷り込みは、当時の小学生にとって強力でした。
小学生ぐらいの年頃は、多感な時期ですし、得る知識は、ほぼ新しい事ですから、教え込まれるという意識はなく、自然に常識として認識してしまう感じです。
ダルシムは必殺技名、全ての頭に"ヨガ"がついているので、ヨガ→インドの格闘技と認識するまでに、時間は必要ありませんでした。
火吹きます。
手伸びてます。
さらに、『ストリートファイターⅡ』のバージョンアップ版である「ストリートファイターⅡ' TURBO(初代Ⅱから数えて3作目) には、ヨガテレポートなる技が追加され、ヨガの力でテレポートが可能になってしまいました。
インド人は手足が伸びるよ!というダルシムの教えに懐疑的だった賢い小学生も、
「テレポートはさすがにやりすぎ。誇張しすぎ(笑)
⇒⇒⇒・・・でも、手足ぐらいは伸ばせるんじゃないか?」
という思考に誘導されていってしまっていたのでした。
今のシリーズに触れる小学生達も間違ったインド人観を刷り込まれているのでしょうか?
ネットが普及して知識の入手が容易な昨今、ダルシムがどこまでの影響力を発揮できているのか、気になるところですね。
少し大げさに書いてしまいましたが、最近のヨガブームが始まる、ヨガ =格闘技だと思っていました.....。手が伸びないインド人の存在を知って、まあ、そうだよな。と思いつつも妙にがっかりした気分に見舞われるんですよね。